熊大病院で活躍する様々なキャリアの看護師にお話を聞きました。
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Interview 01
忘れられない、はじめての「ありがとう」。
Interview 01
忘れられない、はじめての「ありがとう」。
総合周産期母子医療センターとしてハイリスクの妊産褥婦を多く受け入れている産科病棟に所属しています。患者さんからはじめて直接「ありがとう」と言っていただけたのは、入職して3ヶ月目の頃でした。その患者さんが出産に挑まれるにあたり、入職して間もない私にできることは多くありません。それでも自分なり一生懸命に声をかけたり、マッサージをしたり。無事に赤ちゃんが生まれたときは、感動しました。そして迎えた退院の日。患者さんがわざわざ私のもとを訪れ、「そばにいてくれてとても心強かったです」と嬉しい声。まだ大したことは何もできない私だけど、ちゃんと力になれているんだと知れて、本当に嬉しかったです。
憧れの先輩看護師も、私と同じだったんだ。
所属する病棟ではアセスメントや判断で迷ったときに、すぐに先輩に相談できる雰囲気があることにとても感謝をしています。プリセプターの先輩だけでなく、他の先輩も気にかけてくださるのも嬉しいところ。たとえば、ミスをしてナースステーションで落ち込んでいた私を見かけた先輩が、そばに来て励ましてくれたことはずっと心に残っています。大きく肩を落としていた私に対して先輩は、ご自身の体験談などを交えながら「最初なんてみんな同じ。反省すれば次につながるから大丈夫」と温かい言葉。もちろんミスを帳消しにはできませんが、こんなに立派な先輩で私と同じだったんだと、前を向くきっかけをいただくことができました。本当に温かい職場で働けて、幸せ者だと思います!
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Interview 02
目指すのは、後輩たちから真似てもらえるような存在。
Interview 02
目指すのは、後輩たちから真似てもらえるような存在。
2年目になると、できる看護の内容も増え、行う看護一つひとつに責任が伴うことを実感しています。そのため、自分で考えて行動する前に先輩看護師に相談することが1年目よりも増えました。振り返れば、新人看護師だった昨年は先輩の動きを見て、見様見真似でついていくだけで精一杯。自分で考えるということは、ほとんどできていなかったと思います。しかし、今は昨年と違って、新人看護師が私の下に入ってきました。自分が先輩を真似るのではなく、後輩が自分を真似てくれるように。そのためにも基本をしっかりと確かめながら、日々の看護や業務に取り組んでいきたいと思います。
先輩と新人の間をつなぐのも私の役割。
後輩たちから真似てもらえるような存在に、とは言っても、私もまだまだ指導していただくことを必要とする立場。後輩から技術面での相談を受けた際には、自分自身の考えは伝えつつも、きちんと先輩から教えてもらうようにアドバイスをしています。その分、精神面のフォローはしっかりしてあげたいと思っています。所属する部署では自分の上が一年空いて、すでにプリセプターを務める世代。新人看護師にとっては気軽に話すことを躊躇う場面もあるかもしれません。そんなときには私が間に入って、コミュニケーションをつないであげられたらいいなと思います。また、偶然にも今年の新人看護師は2名ともが男性です。同じ性別だからわかりあえることもあります。積極的に声をかけ、支えてあげたいですね。
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Interview 03
できることが増えるたびに、楽しさややりがいも大きくなりました。
Interview 03
できることが増えるたびに、楽しさややりがいも大きくなりました。
1年目よりも2年目、2年目よりも3年目と、できることや気づけることが増えて、その度に看護の楽しさが広がっています。また、自分の指導やアドバイスを通して、後輩が成長していく様子を見られるのも、新人の時にはなかったやりがいだと思います。今から振り返ると1年目の頃は看護技術や業務など覚えることがたくさんあって、いつもいっぱいいっぱいの状態。新型コロナウィルスの影響でリフレッシュもままならない毎日を過ごしていました。それでも仕事を投げ出さなかったのは、同期や病棟メンバーに恵まれていたから。どんなに大変でもこの人たちとなら一緒に頑張れると思える環境と出会えて、本当に感謝しています。
学ぶだけじゃもったいない。研修は同期ともたくさん話せる場。
環境面では、充実した研修制度も魅力のひとつです。1年目は知識、経験不足から看護技術の実践に不安を抱えることもあります。大学病院では研修で一つひとつの看護技術を丁寧に学べるので、臨床現場でも自信を持って実践できます。また研修は2年目以降も継続して開催してもらえます。研修は知識や技術を学べるだけでなく、他の科に配属となった同期たちとも話せるいい機会です。自分の配属先だけのコミュニティで過ごしていると、看護師としても、人としても井の中の蛙になりがち。他の場所にいる人たちと話すことで新しい刺激をもらえたり、もっと頑張ろうと思えたりできる研修の場は、私にとってはスキルアップを目指すだけではない、とても貴重な時間。熊大病院に入ったら、ぜひ皆さんも研修でいろんな人たちと話してみてください!
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Interview 04
新人の頃の気持ちを忘れず、常に学ぶ姿勢を。
Interview 04
新人の頃の気持ちを忘れず、常に学ぶ姿勢を。
所属している消化器外科病棟では手術から放射線療法、化学療法など集学的な治療を行っています。特に手術に関しては大学病院ということもあり、難易度の高い手術や侵襲の強い手術が多い現場です。手術後は全身状態を観察しながら今必要なケアは何なのかを考えて看護を行うため、たくさんの知識が欠かせません。今年で4年目になりますが、まだまだ知らないこと、わからないことがたくさんあります。そのため新人の頃の気持ちを忘れず、常に学ぶ姿勢を意識しています。幸いにも大学病院では研修が多く、学ぶ機会がたくさんあります。研修で学んでことなどを実際の臨床の場で生かせるように頑張っています。
チーム医療の大切さを、ようやく理解してきました。
1年目、2年目のころと比べて、他の看護師や職種を頼ることへの気持ちに大きな変化がありました。新人時代はどうしても遠慮が先に来てしまいます。正しい相談相手も、すぐにはなかなか見つかりません。しかし、経験を重ねるうちに、そうしたハードルはどんどん下がってきました。今担当している患者さんも、きっと私ひとりの看護ではいい結果を残せなかったと思います。よくなりたいという意欲はあるけれど、なかなか行動に結びつかない状況で、どうすればその人に合わせた方法で、リハビリにつなげていけるか……。いろいろな看護師、主治医やリハビリ医師などに相談し、介入してもらうことで、少しずついい方向に進み出しました。頼ることは恥ずかしいことじゃありません。ひとりでできることには限界だってあります。チームで医療にあたることの大切さを、最近になってわかってきた気がしています。
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Interview 05
看護師の仕事の楽しさをこの病院で教えてもらえました。
Interview 05
看護師の仕事の楽しさをこの病院で教えてもらえました。
ICU、救急外来、血液浄化療法センターの3部門を担当する西病棟6階で、侵襲の高い予定手術、院内・院外救急患者さんを受け入れています。実は学生時代には看護師という仕事に強い憧れを持っていたわけではないんです。しかし、人のために役に立つ仕事をしたい、という漠然とした思いから看護の道へ。そんな私でも10年以上つづけてこられたのは、正解がない、ずっと飽きのこない仕事だからだと思います。同じ疾患だったとしても、人も、環境も、症状も、全部違います。そんな中で提供する看護がうまくいったり、いかなかったり、それを繰り返しながら成長していく。この病院でその楽しさを知れたからこそ、今もこの仕事をつづけられているんだと思います。
新人の頃に思い描いていた看護師にようやく近づいてこられたかな。
去年、看護師特定行為研修を修了しました。もともと認定、専門看護師の資格に興味はありましたが、家族を持つと長期間学校に通うという決断がしづらくなります。そうした中で、看護師長からきっかけをいただいたのが、看護師特定行為研修でした。300時間を超える座学に加え、3ヶ月の現場実践。苦しいこともありましたが、これまでの看護経験がつながるような瞬間もあり、とても充実していました。現在は人工呼吸器の設定変更やドレーン抜去など、15項目の分野で医師の到着を待たずとも、スピーディーに患者さんへ医療と看護を提供できるようになりました。人の役に立ちたいと進んだ道で、ようやく自分の技術と経験が追いついてきた。新人の頃に思い描いていた看護師に、ようやく近づいてこられたのかなと、最近になって思います。
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Interview 06
副看護師長として、病棟マネジメントにも参加。
Interview 06
副看護師長として、病棟マネジメントにも参加。
私が所属している産科病棟では、妊婦さんや出産後の産婦さん、新生児のケアを行っています。当院の産科病棟は総合周産期母子医療センターとして、通常の出産だけではなく、合併症のある妊婦さんのケアや出産にも対応しています。専門知識や咄嗟の判断が求められる場面も多いですが、命の誕生に関わることができる、とてもやりがいのある場所です。ここで副看護師長を務めるようになって5年目を迎えました。看護師長とともに病棟管理業務に携わるほか、教育担当として新人、後輩のスキルアップにも取り組んでいます。
新人と同じように、いつまでも学ぶ気持ちを。
新人指導の場面では、私自身も1年目に戻った気持ちで、学ぶ姿勢を持ちつづけることを意識しています。医療や看護は日々進歩していますし、学校で学ぶ内容も私の学生時代とは違っています。だから、今の教科書をチェックしたり、研修に参加してきた新人たちにその内容を教えてもらったり。指導をする私が間違ったこと、古いことを教えてはいけないので、常に情報をアップデートすることを心がけています。また、新人看護師たちが緊張しないような雰囲気づくりも大切に。みんなで楽しく、のびのびと成長できる病棟にするのが目標です!
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Interview 07
副看護師長として新人教育に奮闘中!
Interview 07
副看護師長として新人教育に奮闘中!
HCU(高度治療室)の教育担当の副看護師長として、現場の看護業務のほか、病棟管理業務、特に新人看護師をはじめとした病棟スタッフのスキルアップに取り組んでいます。また、安全リンクナースとして、病棟スタッフの安全管理能力の向上にも取り組んでいます。副看護師長として心がけているのは、スタッフに病棟全体で新人看護師を育てるという意識を持ってもらうことです。看護師長やプリセプター看護師と毎月ミーティングを行って、新人看護師の進捗状況や指導内容を検討し、新人看護師が不安や悩みがないか情報を共有しています。そしてその内容を病棟スタッフに周知し、新人看護師が安心して、そして自信を持って看護が提供できる場になれるように努めています。
一緒に働いていて安心できる、そんな存在に。
実は、マネジメントをする側へとキャリアアップしていきたいという希望を強く持っていたわけではありません。どちらかというと現場で経験を積み、学びを深めていくのが好きなタイプでした。転機になったのは6年前。当時の看護師長からの打診が、大きなきっかけになりました。同じ病棟内に自分よりキャリアのある世代はいたけれど、自分の中に何かを見つけ、声をかけてくれた。戸惑いもあったけれど、その期待に答えようと思いました。マネジメントについて学んだことはなかったので、そこからは勉強の日々です。院内外の研修もたくさん受講しました。また、自分がこれまで一緒に働かせてもらった副看護師長たちもお手本です。相談しやすくて、一緒に働いていて安心できる。そんな理想の姿を求めて、これからも頑張っていきたいと思います。
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Interview 08
患者さんとの出会いが、看護観を変えるきっかけに。
Interview 08
患者さんとの出会いが、看護観を変えるきっかけに。
これまでの看護師人生で印象に残っているのは、5年目の頃に出会った終末期のがん患者さんです。体を思うように動かせない中で、その方が最後に望んだのは、自宅に帰ることでした。その思いを知った私は、医師やご家族、地域連携のスタッフ、訪問看護師など、たくさんのひとに相談。退院日が知らされたときの、その方のいきいきとした表情は今でも忘れられません。当時の私はまだケアのことばかりに意識が向いていた頃でした。しかし、その方と関わったことで、一つひとつの気持ちをもっと大切にしたいと考えるように。看護観を大きく変えるきっかけをいただくことができました。
病棟運営と現場での看護、どちらも大切に。
現在は、業務担当の副看護師長として業務改善や、円滑な退院支援のための環境づくりに取り組んでいます。もちろん、病棟のマネジメントだけでなく、他のメンバーと同じように日々の看護業務を大切な仕事です。患者さんと関わることで、学ばせていただくことがたくさんあります。そして、それは看護師だけでなく、人間としても成長につながっていると感じています。病棟マネジメントと現場での看護、これからも両方を頑張りながら、もっともっと成長していきたいですね。
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Interview 09
男性看護師へのキャリアサポートも万全。
Interview 09
男性看護師へのキャリアサポートも万全。
男性看護師にとって、自分のキャリアをどう歩んでいくのかを考えるのは、とても大切なこと。当院では看護師長との定期的な面談をはじめ、キャリア形成について相談できる機会を若手の頃からしっかりと用意してもらえます。スペシャリストとゼネラリスト、どちらの道に進もうかと迷っていた私に、副看護師長のポジションを提案してくれたのも看護師長でした。現在は教育担当の副看護師長として、病棟メンバーのレベルアップに取り組んでいます。後輩の目の色が変わったとき、成長のスイッチが入ったときは、自分ごとのように嬉しいですよ。
仕事と同じように、育児も楽しみながら。
プライベートでは二児の父をしています。妻も看護師で忙しいので、家事と育児は互いに協力しながら。料理、洗濯、掃除、子どもの送り迎えなど、明確に役割分担をしているわけではなく、互いがその時々でできることをしているイメージです。職業柄、世話焼きの人が多いのか、男性看護師はイクメンが珍しくありません。同じ病棟の若い看護師も子育てを頑張っているようで、よく話をしています。仕事との両立は大変ですが、育児を楽しめるのも人生の貴重な時間。子どもにもっと関わりたくても仕事の都合で叶わないパパさんもいると考えると、とても恵まれた環境だと思います。